生駒に冬の訪れを告げる風物詩 「宝山寺の大根焚き」。

京都の人にとっては、年末に様々な社寺で「おだいこだき」 が行われているので馴染みの深い行事なのではないでしょうか?
大根を食べ、中風(風邪)除けのご利益があるということでたくさんの人が訪れ、京都に冬の訪れを告げる一大行事です。
さて、京都のイメージが強い大根焚き。実は奈良でも宝山寺の大根焚きは京都のそれに負けないくらいのたくさ んの参拝客で賑わう一大行事です。
なぜ、大根を焚いて食べるのか?その由来は?
宝山寺で行われる大根焚き。12月の最初の日に大根を参拝客に振る舞うようになった経緯については諸説あるようですが、大きく2つの理由があるようです。
ひとつは宝山寺の鎮守神である聖天さんの好物が大根であるという言い伝えに基づいて大根を食べるようになったということ。
もうひとつは年の瀬に解毒効果のある大根を食べ、体に宿る毒をはらって来たる年を健康に過ごせるように…という願いを込めて食べるようになったそうです。
ちなみに、聖天さんの好物とされたものは歓喜団と呼ばれる巾着のような形をしたお菓子と(日本に「お菓子」という概念をもたらした清浄歓喜団というお菓子もこのような形をしています)この大根。
聖天さんが見守る宝山寺の賽銭箱には歓喜団をかたどった巾着袋と大根が描かれたここならではのものがあります。
深夜にもかかわらず賑わう境内。
今回向かったのは12月1日へと日付が変わる1時間30分ほど前。たくさんの参拝客で賑わうため、早めにお寺へと向かいます。
写真がぶれてしまったので美しさがわかりづらいですが、美しい夜景が眼前に広がります。
山の中腹にあるお寺にもかかわらず、境内にある駐車場は早くも満車に。さらに山手にある大きな駐車場に車を停めます。
少しばかり歩いて、宝山寺の境内へ。 鳥居には普段はくくられていない縄が。
1年に一度のお祭り仕様に姿を変えています。
鳥居を越え、 境内へと向かう参道には毎月お寺からのありがたい言葉が掲げられ ています。
月によって非常に厳しいことが書かれていたり、 優しかったりと温度差が激しいのですが、今月は割とやさしめ。

確かにそうだ。と首を縦に振りながら心を引き締め参拝をします。
ちなみにこちらが厳しい言葉が書いてあるとき。福沢諭吉の「学問のすすめ」と論点は同じですが、結論が厳しいです…

大根を食べて身を清める前に、まず手を清めに手水舎へ。青龍を象った置物が置かれています。

こちらが文殊堂から眺めた本堂。平日の深夜だというのにたくさんの参拝客が訪れています。
まるで初詣の時のような賑わいを見せます。

一の鳥居に取り付けられるしめ縄もこの日は目の前に。見上げてもその迫力に驚かされますが、間近で見るとさらにその大きさに驚かされます。


全景を写すとやはり大きい…。どれくらい時間をかけて作ったのか非常に気になります。
聖天さんへおまいりしたら…いざ、大根をいただきます
聖天さんに願いを伝えておまいりしたら、いよいよ大根をいただきましょう。

なかなかお目にかかれない大鍋で大根が焚かれています。
参拝客には大鍋の手前にある小さめ(それでも大きいです)の鍋に移して接待されます。

お鍋の中は大根、大根、大根…。これでもかといわんばかりに大根でお鍋が埋め尽くされています。

手がかじかむくらい寒い中、いよいよ待ちに待った大根をいただきます。
神酒で清められた大根は薄味で昔ながらのほくほくとした味わい。
これにこの大根焚きのために作られたと言われる宝山寺みそという お味噌をかけていただきます。
3切れくらいへっちゃらだろう。 そんな風に思っていたらお大根って水分をたっぷりと含んでいるん ですね。笑
意外にボリュームがあります。
食べ終えた頃には体も温まり、お腹もいっぱいになっていました( 笑)
(そもそも、 普段大根を3切れも食べるタイミングなんてないからなかなか大根 でお腹が膨れるってう感覚、わかりませんよね)

大根の接待を行っている場所の隣には、 大根炊きで用いられた宝山寺みそと大根も用意されていました。 大根は一本300円で、 宝山寺みそは500円でお土産として買って帰ることができます。

ずらりと並んで大根。 こんなに大根が並べられているシーンをお見かけすることなんてな かなかないですよね。実際に見ると思った以上に迫力があります。 笑

このほか、境内のお茶屋さんにはレインボーラムネの販売も。
ちなみにこちらは12月の大根炊きに関わらず、 毎月1日のおついたち参りの日に合わせて販売されています。(なくなり次第終了)
1セット150円で、ひとり2袋まで買って帰ることができます。
境内のお茶屋さんにかけられている時計と額。
額をよ〜く見てみると、巾着袋と大根の株が描かれています。

おまいりした後、お土産として持ち帰った大根とお味噌でもう一度大根を食べて厄除けをさせていただきました。

身を温め、心も清め。生駒に冬の訪れを告げる「聖天さんの大根炊き」。ぜひ、ご利益を授かりに訪れて見ませんか?
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宝山寺
生駒市門前町1−1
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