先日のブラタモリで、こんぴらさんが紹介されていました。
かつては参拝客の輸送のため、なんと4つもの路線が金毘羅宮の門前・琴平まで伸びていたのだとか。
東京のような大都会ならさておき、地方にそんなにたくさんの路線があったとは知らず昔の人にとって社寺への参拝がどれほど特別なものであったのかという証左でもあるように思えます。
同時に、鉄道(特に私鉄)における鉄道の路線網の広がりと社寺というのは見逃せないものがあるものでして。
関西でも、たとえば南海電車の高野線(高野山に直結していますよね)など、沿線の社寺への輸送を目的に建設された鉄道というのは多くあるんです。
そんな鉄道とお寺の関係の中で、奈良県民にとって欠かせない足である近鉄にも、お寺との関係性を物語る生き証人ともいえる路線があるのをご存知でしょうか?
それが、生駒駅の隣にある鳥居前駅と生駒山上駅を結ぶ近鉄生駒ケーブル。
実は、こちらのケーブルは日本初のケーブルカーでもあるのをご存知でしょうか?
宝山寺へのアクセス路線として開業
この近鉄生駒ケーブル。こんぴらさんへの鉄道と同様に門前町・生駒にある宝山寺へのアクセス路線として建設された路線。
こちらの写真が宝山寺。
文字通り山肌に沿って建てられており、山の中にあるので一度訪れてみればケーブルカーのあるありがたみというのをしみじみと感じることができるはずです。
ちなみに近鉄生駒ケーブルですが、前身の生駒鋼索鉄道によって1918年に開業し、2018年の夏に開業100周年を迎える歴史ある路線でもあります。
急峻な山の中に立つ宝山寺。ここへの参拝客を輸送する目的で鳥居前〜宝山寺間が先行して開業し、後から宝山寺〜生駒山上間が開業し今日に至ります。
日本初!そして日本唯一の○○
近鉄生駒ケーブルの鳥居前〜宝山寺間。
現在でも年末年始や行事のある日には多くの人で賑わい、境内へ入るのに入場制限がかかることもあるほどの賑わいを見せます。
たくさんの人が訪れる、ということはそれだけ輸送量も増えるということ。この近鉄生駒ケーブル、日本のケーブルカーでは他に見ることのできない貴重な「鉄」な光景を見ることができます。
それは何かというと、ケーブルカーの線路が2本あるということ。
通常、ケーブルカーというと一本の線路があり、路線の中央で離合するというもの。
ところが、生駒ケーブルの鳥居前〜宝山寺間は線路が2本設置されており、離合するところも2ヶ所。
路線の中央では4本の線路が並び、まるで都市部の複々線のような圧巻の光景を眺めることができます。
ちなみに、この2本の線路はいつも両方使っている、というわけではなく通常は1本の線を行き来する形で運行され、混んでいる日には2本体制で運転するという形となります。
こちらが運行している時の様子を収めたもの。これは混雑時のみに使われる路線を収録しているもののようなので、非常に貴重な光景です。
また、この近鉄生駒ケーブルの珍しい光景というのが、多くのケーブルが観光路線として活用されている中、この路線は通勤路線でもあるということ。
宝山寺へ向かう方にとっての参拝のルートであるとともに、山肌が迫り平らな部分が少ない生駒においては山肌に沿って家が建っているので、このケーブルは生活の足としても機能しています。
ということもあり、終電が23時近くまである非常に珍しい路線です。
お寺と鉄道の密接な関係を今に伝える近鉄生駒ケーブル。お寺を巡る、それだけでなくこういった部分にも着目して参拝をしてみてはいかがでしょうか。