奈良で醸されたお酒、奈良で出会ったお酒を紹介する奈良酒飲みある記。
これまで2回は奈良県御所市の油長酒造さんの風の森を紹介してきましたが、今回ご紹介するお酒はこちら。
奈良市で「豊祝」を醸す、豊澤酒造さんの特約店限定の貴重なお酒です。
豊澤酒造さんといえば、近鉄電車の駅ナカに立ち飲み屋「蔵元 豊祝」を営むなど奈良の酒蔵の中でもいちはやく日本酒を飲める場づくりに取り組んできた革新的な蔵でもあります。<br>
(豊澤酒造さんの他にも、蔵元直営の飲み屋さんというのがあるのでまた機会を改めて紹介したいと思います)
そんな豊澤酒造さんが酒造りにおいて革新的なチャレンジをしたお酒がのの「儀助」。<br>
元・酒屋店員、東生駒の自由すぎるうどん屋さん・武家
こちらのお店で日本酒の仕入れを行う東京の酒屋さん(かつて勤めていたところだそうです)から
「奈良に美味しい、面白いお酒がある」
ということで今回飲む機会をいただくことができました。
(ちなみに武家さんは奈良のお酒は奈良で飲めるので、ここでは奈良のお酒を滅多におくことがないんです)
「豊祝」のイメージを覆すフルーティーさ
豊澤酒造のチャレンジともいえるこの儀助。ひとくちこのお酒を口にしてみると
「えっ、これホンマに豊澤酒造さんのお酒なん?」
といい意味で豊澤酒造さんのお酒に対する既成概念を覆してくれるお酒だと思います。
なんといっても飲み口がフルーティー。かといって甘ったるいわけではなく、キレのよいクリアな後味がキリッと締めてくれる完成度の高いお酒です。
豊祝、春鹿に代表される奈良のお酒に特徴的ともいえる酸味が非常に少ない味わいになっています。
それもそのはず。純米酒を得意とする蔵にあって、日本酒度が高く、数値には「辛口」と表現される酒造りを行うこの蔵にあって、儀助は日本酒度は非公開ながら、恐らくマイナスであろうくらい全く別物といっていい造りとなっています。
究極の食中酒を目指した挑戦
この儀助。昔ながらの豊澤酒造さんの味わい、というよりかはフルーティーで今風のトレンドを捉えたお酒といえるかと思います。
お酒のスペックに関しては精米歩合は酒米の王様・山田錦を55パーセントまで磨き、酵母には昨今品種鑑評会などで軒並み金賞を受賞。圧倒的な存在感を見せる1801酵母を使用しています。
この造りのうえで、無濾過、生酒の状態で造っているのでフルーティーかつ山田錦という酒米ならではのキレのある味わいが生み出されているのです。
「究極の食中酒を目指して」
そんな思いで挑戦を挑み続けるこのお酒。フルーティーな旨味、そして食事の味を遮らないキレのよさはまさに究極といえるお酒でしょう。
左党のみなさんにそんな印象を与えてくれるのではないか。大げさではなく、心からそう思うくらい今後大注目のお酒です!
濃さ :★★
キレ :★★★
旨味 :★★★★★
酸味 :★★★
飲みやすさ:★★★★★