突然ですが、生駒市に今、世界中でちびっ子達、そしてその親達を熱狂の渦に巻き込むあるスポーツで世界一に貢献したカリスマがいるのをご存知でしょうか?
それは、自転車のような形状にペダルが無く、足で蹴って進むストライダーという競技。
現在100万人以上の子どもたちに愛される世界的に流行している乗り物なんです。
アメリカで行われた世界大会で、世界一に輝いたチームのメカニックとして活躍したのが生駒市にある自転車屋 ビッちゃんの髙尾洋さん。
かつて一世を風靡したピストバイク。ピスト界に新たなカルチャーを吹き込み、高い技術力で業界を牽引したカリスマ性をそのままに、この生駒の地で活躍するストライダー界のカリスマかつパイオニア。
今回、髙尾さんに生駒にお店を出すまでの経緯やストライダーへの思い、生駒に住んでみて感じたことなど、あれこれ聞いてみました。
新しいお店を出そうとしていた矢先、直感でビビっと!
生駒市小明町、近鉄東生駒駅から国道168号線を北に15分ほど歩いた場所にある自転車屋ビッちゃん 生駒店。
オレンジ色の看板と犬が描かれた可愛らしい看板、何より「ビッちゃん」という他の自転車屋さんにはないネーミングで一目見れば誰もが印象に残るユニークさに溢れています。
店内は自転車屋ということもあり、ストライダーだけでなくロードバイクや電気自転車、ママチャリなども取り扱っています。
コンクリート打ちっ放しの天井が倉庫のような感じもあり、おしゃれな雰囲気のある店内。
なぜ、この場所にお店を出すことにしたのか。そして誰もが一度聞いたら忘れられない「ビッちゃん」という店名の由来について聞いてみました。
ならまっぷ− なぜ、この場所にお店を出すことにしたんでしょうか?
高尾 洋さん(以下 YOH!) – 当時、大阪市内でお店(オーシャンサイクルファクトリー)をやっていて倉庫が欲しくて。もともとは倉庫として使っていたんやけど、運ぶたびに訪れていていい場所だなとは思っていて。
ならまっぷ− 倉庫だったんですね。で、そこからお店を出すに至ったのは?
YOH! - もともと前の店は若い子にやらせて独立したいな、と思っていた頃で。
で、僕がいざ店出すならT字路の文字が重なる場所の頂点に店構えたいなと。そうするとここってまさにその僕が思っていた条件にぴったりな上に、向かいには流行っているガソリンスタンドに飲食店(笑空)があると。これは来ると、直感やね。
ほんで、今のお店の場所が友達のやっていた物件やったんやけど、下が倉庫として借りてて上は家屋で別の人が住んでいて。ところが上が空き家になって、ちょうど僕も娘が生まれたばかりで嫁さんが大阪市内のガチャガチャした空間よりこっちの方が子育てもしやすいってことで生駒に住むことにしたんです。
ならまっぷ - なるほど、じゃあ生駒にゆかりがあって店を構えたのではなく、タイミングとかいろんな巡り合わせが重なってここに店を出したんですね。ちなみに、びっちゃんっていう店の名前はどこから取ったんですか?
YOH! - 店の名前は「っ」っていうのを入れて聞いた時に頭に残るようなものにしたいなと思ってて。で、うちの名前が「ビット」っていうねんけど犬の名前から取ってびっちゃんっていう名前にしたんよね。
ならまっぷ - 犬の名前やったんですね!看板にも犬描かれてますもんね(笑)
(お店のカードにもびっちゃんのイラスト)
オープンと共に吹いた追い風
2011年の11月に生駒市小明町にオープンした「自転車屋 びっちゃん」。もともと生駒にゆかりがあったわけではなく、「ビビッと来た」という立地でこの場所にされたのだとか。オープンするやいなや、この自転車屋びっちゃんには髙尾さんも予想しなかった追い風が吹いたのです。
とともに、オープンの際にYOH!さんが取った大胆とも言えるオープン時のキャンペーンについて聞いてみました。
ならまっぷ− 生駒は地形上、坂が多いので自転車に乗る人、自転車屋さんが少ないですがこの場所にオープンしてみていかがでしたか?
YOH!− あっという間やったね。ほんでもっと売れてもいいかな、という気もするね。
ならまっぷ− もう6年目?でしたっけ。すぐ閉めるお店も見てきた中で地元に根付いててすごいですよね。(自転車修理に来たお客さんが来る)
YOH!− ちょうど、ここのお店を始める直前にジャスコが潰れて。ほんでその跡地にロイヤルホームセンターができたんやけど(現在は閉店)、ここで自転車の修理とかができると思いきや自転車を取り扱っていなくて。ほんで昔ジャスコで自転車買った人の修理がうちに来て。
ならまっぷ− へー。それは素晴らしい追い風でしたね。とはいえ、オープンしてからの告知とかもされたと思うんですけど宣伝とかはしたんですか?
YOH!− 最初チラシを入れようと思ったんやけど、新聞屋さん行ったら5万円て言われて高いなーと思って。これなら100人分パンク修理タダにできるやんって思って最初100人来た人はパンク修理タダにしたね。
ならまっぷ− そんなことやってたんですね!反応はいかがでしたか?
YOH− 近くのマンションの人が来てくれたんやけど、瞬く間に口コミで広がって。結局マンション中の人が来たね(笑)
元々持っていた技術だけでなく、口コミによってできたばかりのお店の評判が広まることで近隣からのお客さんを獲得することに成功した洋さん。
広告費の5万円を高いと感じ、その分をパンクの修理に充てるというのは他にはない革新的かつ独創的なアイデアと言えるでしょう。
ここから、洋さんはさらにパイオニアとしての道をこの場所で開拓することとなります。
直感でストライダーへ
今ではストライダーで世界一のメカニックとなりましたが、オープン当初はストライダーを扱っておらず、自転車の修理や販売を行っていました。なぜストライダーを取り扱うようになったのか。取り扱いまでの経緯について聞いてみました。
(写真がストライダー。ペダルがないのが特徴)
ならまっぷー たしか、はじめたばかりの頃は海外サイトから輸入してきた自転車部品の組立とかをしていましたよね?
YOH!ー 当時はめちゃくちゃ円高で(注:1ドル90円程度)、部品買ってもらって組み立てた方が安かったからね。
ならまっぷー 自分で輸入した部品を組み立ててくれる事にも驚きましたが、そこからストライダーに力を注ぎ始めたのにまた驚いて(笑)おかげさまで自転車が好きになってあれやこれや海外通販で買って、洋さんに組んでもらって楽しませてもらいました。
そんな時に、今度はペダルがついてないもの売るんかい!と改めて「最先端やな〜」と驚いたのを今でも覚えてます。取り扱いをはじめたきっかけは何だったんでしょうか?
YOH!ー 見たときにザワッとして。ほんでこの乗り物が誕生した時期と娘が生まれた時期が重なったのもあって、取り扱ってみようと。自転車ってなかなか出会いがないけど、これやってもらったら子供達が自転車競技に触れるきっかけを作れるかなとも思ってはじめました。
ならまっぷー そこから世界一をサポートするメカニックになったわけで…。修理してもらったときのクオリティの高さにはいつも驚かされていましたが、まさか家から一番近い自転車屋のお兄さんが世界一の技師になるとはまたまたびっくりしました。ちなみに、こちらのお店には県内外からお客さんが来るんですか?
YOH!ー ほとんど県外やね。関西はもちろん、関東からも来るし。こないだなんかは春節ってこともあって台湾とか香港からも来て(笑)
ならまっぷー世界中からお客さんが来るんですね。日本だけでなく世界を股にかけるメカニックですね。
ちなみに、YOH!さんの娘さんもストライダーの大会に出場しており、まさに「ストライダー世代」の子どもたちを見ていることも他のメカニックにはないYOH!さんならではの強み。
(大会出場時のYOH!さんの娘さん。ホイールにはYOH!さんが立ち上げたブランド「OCF」の文字が)
同じ世代の子たちを自分の娘のように見ることができるため、様々なニーズを汲み取ることがてまきたようです。
これに、ピストバイク界のパイオニアとして業界を席巻し続けた技術力が融合。
これまで欲しかったけどなかった「かゆいところに手が届く」商品開発にも活かされています。
世界一のストライダーメカニックとして、将来の子どもたちへ
現在はストライダーのメカニックとして、そして生駒の店舗にとどまらず北は全国各地のイベントへと出向きストライダーの普及活動に精力的に活動するYOH!さん。
そんなYOH!さんに、ストライダーの世界一のメカニックとしての思いを聞いてみました。
ならまっぷ− 今はストライダーのメカニックとして活躍されていますが、どんな思いを持っておられますか?
洋さん−ストライダーに乗った子たちが自転車競技に乗って欲しいね。馴染みがなくって、小さいうちから自転車に乗るっていう子がなかなかおらんからこれをきっかけに自転車に乗る人の人口が増えてくれたらなって思ってます。
ならまっぷ− 確かに、自転車競技やるってなかなかハードル高いですもんね。この小さい自転車は子ども用のものですか?
YOH!− そうそう。でも今もう一回り小さいの作れへんかなって話してて。ストライダーは5歳くらいまでしかできないから、その後このサイズだと自転車から離れてしまうし。すぐロードバイク乗れるように作ってもらってるとこです。
ならまっぷ− 小さい時にストライダーに乗った子が、自転車競技やって日本のレベルが上がってくれるといいですね。
(優勝した世界大会にメカニックとして同行した際の写真。下段左から2番目がYOH!さん)
生駒から世界へ。カリスマの挑戦は続く
生駒に店を構えて5年あまり。静謐な環境、子育てのしやすさからかなりの愛着を持っているそう。弟、両親にも生駒の住環境の良さを話したところそれぞれ生駒に住まいを構えるほど住み良さを実感しているようです。
一方で、自転車、そしてストライダーに対する熱い思いをたぎらせ続け今も新たな商品開発を行うなどカリスマ、パイオニアとしての活動を引き続き行い、その活躍の場は生駒だけにとどまらず全国へと拠点を広げる髙尾さん。
今後はアジアカップ、ワールドチャンピオンシップでも出店をする予定もありこれからは日本だけでなく世界をも見据えて活躍の場を広げられるのだそうです!
常識にとらわれない発想。それを実現へと向けるバイタリティでこれからも自転車業界のパイオニアとして活躍し続けることでしょう。
これからも、YOH!さんの活躍ぶりから目が離せません!
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自転車屋 ビッちゃん
生駒市小明町1335−25
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