インフルエンサー−
近年、SNSなどの台頭により浸透しつつある外来語。元来は「影響を及ぼす人」という意味をもつ言葉。
影響力のあるブログ・SNSのユーザーを指す名称として認知されつつあります。
さて、洋菓子界において絶大な影響力を持つインフルエンサーが、大阪市内から電車で30分ほど。
生駒山を臨むのどかな場所にある一軒のお菓子屋さんだということをご存知でしょうか?
遠く関東からも訪れる方がいるとほどのお菓子屋さん界のカリスマに聞いてみました!
地元の人なら誰もが知る店の息子として−
今回、ならまっぷ編集部が訪れたのは近鉄生駒線・菜畑駅から歩いて7〜8分ほど、周辺には畑が広がるのどかな場所にある洋菓子屋さん「RECHERCHE」。
フランス語で「探求する」という意味を持つ「RECHERCHE」。弱冠30歳にして独立し、生駒の地で「おいしいお菓子とあなたの幸せな生活を追求する」をテーマに10年以上にわたりお菓子屋さんを営むパティシエが髙木基弘さんです。
生駒では誰もが知るパン屋さん「あんぱん」を営む家庭に生まれた髙木さん。
小さい頃から入れ替わり立ち代わり住み込みで働く人たちを目の前に、幼ながらに「いずれは経営者として働いている人の分まで養っていかねばならない」という覚悟がいつしか芽生えたのだそうです。
やがては経営者に−
自営業の家庭という環境に育つ家庭ならではの光景を目の当たりにし、そんな思いを抱いた髙木さん。
学生時代は生徒会長に自ら立候補するなど、小さい頃からゆくゆくは経営者として働いていくために必要なことを自ら考えて行動に移していたと振り返ります。
高校卒業後、製菓学校で洋菓子を学んだ後にお菓子屋さんへ。
「体重が20kgも落ちた」というほど過酷な環境の中で1年ほど勤めた後、三重県・伊勢の「あんぱん 伊勢店」で住み込みで働き、その後一旦実家の「あんぱん」で働くこととなります。
様々な葛藤の末、意を決して上京
地元・生駒に戻り、あんぱんで働くこととなった髙木さん。その後、ケーキ部門が立ち上がることとなり、立ち上がりと同時に配属されることに。
大好きなケーキ作りに携われる。はずが、作りたいと思うものとお店で提供するケーキとのズレに葛藤が続く毎日。
同時に、親と子で仕事をすることに対しての違和感、そのまま敷かれたレールをそのまま歩んでいくことに対してこれでよいのか…
様々な気持ちが入り混じるなか、レールの幅、能力や可能性の枠を広げたい−
ケーキをきちんと学びたい。何のツテもないなか、東京へ出て飛び込みで修行へ赴くことに。
相手にされることもなく、門前払いのような形で断られる経験もしたのだそうです。
上京し、いくつかのお店を転々としパティシエとしての土台を築き上げていきます。とともに、お店での修行がない期間には食べ繋いで行くため日雇いのアルバイトをこなすことも。
この時の苦労が、お菓子作りだけでなく髙木さんが当時から抱いていたある想いをますます強くさせるきっかけとなったのだそうです。
「まちづくり」という想い、そしてロゴに込められたある想いとは…
髙木さんが20歳頃から抱き、お店を営む上での想いとなっている考えが「まちづくり」。
お菓子作りとは一見関係がなさそうにも思えるこの想いですが、RECHERCHEさんのお菓子をよく見てみるとその想いがふんだんに込められていることがわかります。
苺には平群町でいちご農家を営む「せいけファーム」さんで生産される奈良県さんのブランド苺・古都華を使用。(ちなみにこの農園でいちご作りを営む清家さんは元RECHERCHEさんのパティシエだったのだとか。)
また、「くらがり峠愛情プリン」で用いる卵には日本一の劇坂ともいわれる暗峠(くらがりとうげ)の道中にある養鶏場で平飼いにされた有精卵を用いたりと地元・奈良県産の素材をふんだんに活用。
地元で作られた材料をできる限り使うという形で地元へ貢献しつつ、こだわり抜いた素材を用いています。
食材以外にも、店内には「まちづくり」の想いが反映されており、店舗と併設しているカフェには近隣で活躍する若手のクリエイターを応援するという思いも込めて作品などの展示も。
さらに、ロゴにも髙木さんの想いが。大文字のRと小文字のrを組み合わせたものですが、よく見てみると漢字の「人」の文字が3つ。
ここには、「人が中心に回る」という髙木さんの考えを落とし込んだものになっています。
洋菓子作りをきっかけにして、作り手も、買い手にも、そして生産者にも…
近江商人の「三方よし」にも通じる、アントレプレナーシップに溢れた経営者としての一面を垣間見ました。
洋菓子界のカリスマinstagramerとしての活躍
パティシエとしての枠を越えて活躍の場を広げる髙木さん。往馬大社で開催されたこま市にも出店しているほか、instagramのフォロワーは洋菓子界ではトップクラスとなる3,000人近いフォロワーを獲得。洋菓子会におけるインフルエンサーとしても活躍!
instagram特有の楽しみ方のひとつである「ハッシュタグ」を巧みに活用し、「パティシエカメラ部」の第一号会員としてお菓子を作る楽しみ、撮る楽しみを提供しています。
「写真を撮ったり、企画を考えるのが楽しくて仕方ない」
自身も写真を撮るのが好きということもあり、そう語る髙木さん。
撮った写真をSNSなどで上げてみたら?という形で勧めてくれた方とともにinstagramにて「#パティシエカメラ部」というお菓子好きの方が投稿しあえるハッシュタグを作るとともに、「部員」を募り自身も1号会員として活動。
「#パティシエカメラ部」というハッシュタグからの投稿は2万件に迫る勢い(2017年4月下旬現在)で全国から様々な投稿を集めているほか、次から次へと企画を生み出しお菓子クラスタの心を掴み続けています。
なかには、RECHERCHEを目当てに遠く関東から訪れる方も。知名度は生駒にとどまらず、全国区に。
パティシエカメラ部の活動を行うinstagramerを巻き込み、SNS上でイベントやキャンペーンを次から次へと企画。キャンペーンの抽選の模様を動画で投稿するなど、ユニークな取り組みも行なっています。
また、企画をするだけでなく、SNS上で繋がった「会員」の人たちから提案されたアイデアも取り込んで発信していくことも。髙木さんからの一方通行の情報配信ではなく、繋がった会員を巻き込み双方向で楽しみを共有しあうプランナーとしても活躍しています。
パティシエカメラ部にとどまらず、instagram上で繋がり、様々な提案をするインスタグラマー @haruna.mnb さんとともに「#パティシエカメラ部レシピ課」のハッシュタグを運用しお菓子好きの心をくすぐる企画を次々に行っています。
インフルエンサーとしての活躍ぶりはinstagram界にとどまらず、企業も注目。水面下で驚くような企画が進んでいるとかいないとか…。
奈良といえば、というお店を目指して− 探求と挑戦は続く
「探求する」という意味を持つ「RECHERCHE」。30歳でお店を開いてからあくなき挑戦と探求を続けてきた髙木さん。
経営者として、そしてパティシエとして…。
「どん底と思っても、さらにどん底に突き落とすのか」と思うほどの苦難が続いたと語る30代。
洋菓子作りだけでなく、経営者としてのスタッフの管理などを一手に抱え「洋菓子作りどころではなかった」という時期もあったのだそうです。
時にもうお店は続けられないのではないかと思うほどの困難も乗り越え、「不惑」といわれる40代にしてパティシエとしての確固たる自信を掴んだという髙木さん。
パティシエとして洋菓子の普及活動にも精力的に取り組んでいます。
奈良を代表する店舗へー
その想いからお菓子作りに専念できるよう、徹底的にスリムな体制へとシフトチェンジ。
RECHERCHEさんの店内
店舗も1階から工場のある2階へと移し、お店のサイズをスリム化。
お菓子作りに集中できる環境を整えることで、「奈良といえばRECHERCHE」と言われるほどの名店へと登りつめることを目指し、挑戦を続ける髙木さん。
「楽しまずして、成功しない」
そう笑って語る髙木さん。その中にひしひしと伝わる熱量、そして確固たる想い。
お店の名の通り、「探求」の末に訪れる未来にこれからも目が離せません!
↓↓↓RECHERCHEの公式WEBサイトはこちら↓↓↓
↓↓↓RECHERCHEのinstagramはこちら↓↓↓
https://www.instagram.com/recherchenara/
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RECHERCHE
奈良県生駒市東菜畑1丁目178 コーポ五風
TEL 0743-75-1552
アクセス:近鉄生駒線「菜畑」駅から徒歩約10分
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