どうも、年間1石くらいは風の森を購入しているのではないか?
大げさではなくそれくらいの風の森LOVERなならまっぷ きむらです。
さて、そんな大好きな風の森を醸す油長酒造さんから非常に重要なアナウンスが。
一見すると「ふーん、そうなの?」というアナウンス。しかし、日本酒の業界において革新的とも言える変更がこの度行なわれるようです。
それは、これまで、四合瓶、一升瓶で販売されていた風の森が全て四合瓶での販売となること。
ちなみに一升瓶とは、1800ml入りのお酒。
一方で四合瓶とは一升瓶の5分の2の分量、720mlが入ったお酒のことをさします。
(写真でいうと右側の大きい瓶が一升瓶、左側の小さいものが四合瓶になります)
一般的には、一升瓶の半分の価格で四合瓶が販売されています。よく飲む方、またはお店など飲食店にとっては一升瓶を買う方がお得になるということもあって、飲食店などで一升瓶が並ぶのはそのためというのも一因としてあるでしょう。
今回、その大きくコスト的にも優れた一升瓶の販売がなくなり、四合瓶のみの販売となる。ということは、飲食店にとっては結構なインパクトのある出来事なんです。
風の森が全部四合瓶になるとはどういうことなのか、またそれによりどんな影響があるのかご紹介したいとおもいます。
風の森とは?
そもそも、風の森とは奈良県の御所市に蔵のある油長酒造さんで醸されるお酒。
生酒がほとんどない時代に、当時全くといっていいほど流通していなかった生酒を消費者に届けたい。そんな思い出およそ20年ほど前に産声をあげたのが「風の森」というお酒。
1.無濾過
2.無加水
3.生酒
4.酵母はどのお酒においても7号酵母
という細かいルールがあり、これだけ細かいルールを決めているからこそ「あっ、風の森を飲んでるな」と感じさせる独特の風味が感じられるわけです。
そのほかにもここでは書ききれないくらい様々なこだわりが詰まったお酒なのですが、ここでは割愛させていただきます。
興味のある方はこちらをご覧ください。
風の森が全て四合瓶になった背景とは?
今回、全てのお酒が四合瓶となった風の森。
ここからはなぜ全てのお酒が四合瓶になったのかという背景を紹介していきます。
もともと、風の森をはじめとした生酒はフレッシュである一方、そのトレードオフとして酵母が生きているが故、非常に品質が変化しやすいという一面を抱えているお酒です。
クール便などをはじめ鮮度をキープしたまま送る技術が向上したため、高いクオリティでお酒を販売できる酒販店において並べることができるようになりました。
しかしながら、酒販店で販売したあと、飲食店や個人の消費者など最終的にお酒を提供する、または楽しむ人がどう扱っているか、この点においては酒蔵では管理できない部分になります。(冷蔵で早めに飲むように、と書いたって実際そうするかはわからないですからね…)
結果、せっかくいいお酒を作ったのにも関わらず、消費者に渡る時には「あれ、フレッシュじゃない…。というか美味しくない…」なんてことにつながってしまうわけです。
今回の風の森が全て四合瓶になったのには、安定した品質でお酒を提供できるよう、蔵としてできるクオリティコントロールのひとつと考えられます。
飲む人にとってのメリットとは?
飲食店にとっては実質的な値上がりとなってしまうため、抵抗もあったといわれるこの今回の風の森の全四合瓶化。
消費者にとっては一升瓶と比べて量が減ってしまうため、金額が上がってしまうのは事実です。
しかしながら、消費者にとってはいくつかのメリットがあります。
入手できるチャンスがふえる
まず、一升瓶に比べて同じ量を生産しているとすると全てのお酒を詰め込むことのできる本数が増えます。
そのため、欠品などが発生していた風の森において、一般の消費者が手に入れることができるチャンスは増えると考えられます。
また、一升瓶限定の販売というお酒もありましたが、四合瓶限定となることで一般の消費者によくある冷蔵庫に入らないという問題も解消されそうです。
2.今よりもよりフレッシュに味わえる
これは蔵の目的でもありますが、量を減らすことでより早くお酒を回転させることが可能となります。
結果として、お酒を飲む際によりフレッシュに、風の森ならではのプチプチとした酵母が生きている味わい、フレッシュかつフルーティな風の森らしい味を楽しめることになります。
年間を通した生産により、石高を増やした風の森。そのためいろんなお店で飲めるようになった一方、素人でもきちんとした品質で管理していないな。そう感じることも多々ありました。
今回の全4合瓶化によって、お酒をよくわかっていないお店(失礼)でも、風の森らしさを味わえるはずです。
生酒の販売にイノベーションを起こす変更かもしれない
今回の変更は酒販店、飲食店を中心に大きな抵抗のあったようですが、これは今後日本酒、特に生酒の販売にイノベーションを起こすことになるかもしれません。
何よりフレッシュさが命ともいえる生酒。
今回の変更によって、生酒が四合瓶での販売をベースに、そしてゆくゆくは四合瓶での販売がベースになるのかもしれません。
酒造技術の向上、物流の革新によって美味しい日本酒が手軽に入るようになった今日。
日本酒は飲食店で飲むものでもあり、家で冷やして飲むものにもなっているように感じます。美味しいお酒をより身近に、美味しく。
将来の日本酒業界にいい影響を及ぼすことでしょう。